仮想通貨を狙う「レンチ攻撃」が急増、2026年上半期だけで被害3,000万ドル超
物理的な暴力による仮想通貨強奪が過去最悪のペース
ブロックチェーン分析会社Chainalysis(チェイナリシス)は、2026年6月下旬までに仮想通貨保有者を狙った46件の暴力事件を確認し、被害額が3,000万ドル(約47.5億円)を超えたと報告した。
誘拐や住居侵入、人質事件などを通じて仮想通貨の送金を強要する「レンチ攻撃」が増えており、現在のペースが続けば、2025年に記録した年間被害額5,800万ドル(約91.8億円)を上回る可能性がある。
フランスで30件、税務データ漏えいが攻撃増加の一因に
Chainalysisによると、2026年上半期に確認された46件のうち、実際に金銭の支払いに至ったのは12件で、成功率は26%だった。2025年の49%、2024年の67%からは低下しているものの、公表されていない事件も多いとみられ、実際の被害規模はさらに大きい可能性がある。
特に目立つのがフランスで、2026年半ばまでに公表された事件は30件に達し、Chainalysisのデータセットでは最多となった。2025年通年の19件から急増しており、同国当局が把握している仮想通貨関連の暴力事件は70件を超えるという。
Chainalysisは、フランスでの急増について、高額の仮想通貨保有者に関する税務データの漏えいが一因になった可能性を指摘している。フランスの税務職員が投資家の氏名や住所、電話番号、保有データなどを不正に取得して犯罪者へ販売した疑いがあるほか、仮想通貨税務申告会社Waltio(ヴァルティオ)でも約5万人のユーザーに影響する情報漏えいが発生した。
攻撃者はこうしたデータ漏えいのほか、ソーシャルメディアや内部情報などを通じて標的を選んでいるとみられている。
住居侵入や家族を狙う攻撃も増加、資金洗浄の手口は多様化
攻撃の形態にも変化がみられる。誘拐は依然として最も多いものの、住居侵入が占める割合は2026年に37%まで上昇した。また、仮想通貨の主要保有者本人ではなく、家族や親しい知人を狙って送金を迫る事件も増えている。
Chainalysisの調査では、2026年初頭には家族や知人が標的となったケースが全体の25~30%を占め、フランスでは40%以上に達した。仮想通貨は一度送金されると即座に移動し、取り消しが難しいため、犯罪者にとって高額保有者が標的になりやすいとされる。
盗まれた資金の移動方法も攻撃者によって異なる。一部では盗んだ仮想通貨をそのままCEX(中央集権型取引所)へ送金する一方、より高度なケースではDEX(分散型取引所)やブリッジ、クロスチェーンツールなどを利用して資金の流れを分かりにくくしていた。
報告書では、レンチ攻撃のリスクが資産の保管やウォレット管理だけにとどまらず、保有者本人の身体的な安全や住居、家族にまで広がっていると指摘している。こうした状況を受け、フランス政府は迅速な警戒・保護システムを導入するとともに、仮想通貨業界との情報共有や連携を強化する方針を示している。
免責事項:本記事の内容はあくまでも筆者の意見を反映したものであり、いかなる立場においても当プラットフォームを代表するものではありません。また、本記事は投資判断の参考となることを目的としたものではありません。
こちらもいかがですか?
円ステーブルコイン発行のJPYC、シリーズBで3800万ドルを調達し国内決済ネットワークを拡大
英当局、金トークン化で大手銀行と協議=FT報道

CMEヘッジファンド、ビットコイン先物で稀な買い越しに=アナリスト

UniswapがRobinhood Chain初のローンチパッド「Pools.trade」を公開
