- クラリティー法の倫理条項、執行はDOJが担当
- ポリマーケット、成立確率40%に低下
新条文公開、来週採決へ
米上院共和党は23日に仮想通貨市場構造法案「クラリティー法」の最新条文を公開した。倫理条項の具体的な内容が明らかになり、上院本会議での採決は早ければ来週にも行われる見通しだと、ザ・ブロックおよび仮想通貨政策を専門とする記者エレノア・テレット氏が報じた。
新たに盛り込まれた倫理条項は、大統領・副大統領・連邦議会議員・連邦裁判所判事ら連邦当局者とその配偶者が、在任中に仮想通貨を発行・スポンサーして報酬を得ることを禁じる内容だ。1,000ドルを超える仮想通貨売却の開示を義務付けるほか、米司法省(DOJ)が民事執行権限を持ち、禁止トークンを意図的に上場した取引所を提訴できる権限も付与された。なお、仮想通貨への投資自体は引き続き認められる。
ただし、倫理条項の執行機関をDOJのみに限定した点に民主党は強く反発している。州司法長官の関与を求める民主党の要請は受け入れられず、アンジェラ・オールソブルックス議員はザ・ブロックに対し「DOJが倫理条項を執行する?それは真剣な提案とは言えない。この条文では支持できない」と述べた。
倫理条項には2029年1月20日(現政権の任期終了日)をもって失効する日没条項も設けられた。シンシア・ルミス上院議員はファクトシートの中で、この日没条項は「トランプ大統領が自ら選んだ基準であり、議会が課したものではない」と説明した。また、同条項はトランプ大統領の子供(ドナルド・ジュニア氏、エリック氏)には適用されない。両氏は同氏の一族が設立した企業ワールド・リバティ・フィナンシャル(WLF)に関与しており、規制の対象外となる。
BRCAと法執行強化セクション
条文には「ブロックチェーン規制確実性法(BRCA)」も盛り込まれた。非カストディアル型のソフトウェア開発者やブロックチェーン・インフラ提供者が分散型ネットワークの構築・維持を行うだけでは資金送金業者として扱われないことを明確化した内容で、5月に上院銀行委員会を通過したバージョンから変更はなかった。違法取引を「知りながら」促進した者への連邦刑事責任を存続させるルミス・グラスリー修正条項と、個人の仮想通貨自己管理(セルフカストディ)の権利を守るキープ・ユア・コインズ法も引き続き条文に残った。一方、法執行機関の一部や82人のカトリック系指導者らは、同条項が人身売買や資金洗浄への対応を弱体化させる恐れがあると警告している。
新設された法執行強化セクションは25条からなり、州・地方機関への仮想通貨捜査支援とブロックチェーン分析ツールへの資金拡充、法執行官・検察官向けの研修プログラム新設、北朝鮮・イランなど国家主体の脅威に対応する「サイバーセンター」の設立、仮想通貨詐欺対策の官民タスクフォース創設が柱だ。ステーブルコイン発行体には、当局の適法な命令があった際に資産の凍結・没収・無効化・再発行に応じることも義務付けた。
ステーブルコイン利回りに関する条項は、上院銀行委員会通過バージョンから変更されなかった。決済ステーブルコインの残高に対して利子を支払うことを禁じつつ、取引やステーキングなど実際の活動に連動した報酬は認めるティリス・オールソブルックス妥協案が維持された。また、取引所や管理業者が破産した際に顧客資産が会社の財産として扱われず顧客に帰属する旨を明文化した破産保護規定も含まれており、かつてのFTXのような事態の再発防止を図る内容だとザ・ブロックは報じた。
業界反応と上院採決の見通し
業界団体からも相次いで声明が出た。米仮想通貨業界団体デジタル・チェンバーのコーディ・カーボンCEOは「クラリティー法の上院採決に向けた意義ある前進だ。今こそ、米国がデジタル資産のグローバルリーダーになるための持続可能な市場構造法を成立させる最善の機会だ」と述べた。仮想通貨業界団体ブロックチェーン・アソシエーションのサマー・マーシンガーCEOは条文を精査中とし、「超党派で多大な時間と労力を費やした上院議員とスタッフに感謝する」とコメントした。
法案の上院本会議通過には60票が必要で、少なくとも10人の民主党議員の支持が求められる。倫理条項の執行機関や子供への非適用を巡り、民主党の支持確保は依然として不透明だ。上院多数党院内総務のジョン・スーン氏は数日以内に本会議での審議に移る意向を示しており、8月7日の夏季休会入り前が現実的な期限とされている。
予測市場プラットフォームのポリマーケットでは、倫理条項を盛り込んだ最新条文の公開後も、2026年中に法案が成立する確率は40%に低下した。今週初め時点では約50%を付けていたが、市場参加者の見方は慎重に傾いている。
上院を通過した場合、法案は下院での審議・採決を経て、最終的にトランプ大統領の署名を待つ流れとなる。
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